当教室について
主任教授 小室裕造
1987年に整形外科内に形成外科診療班が開設されました。1993年に形成外科として独立し初代教授に平林慎一が就任、2006年には形成外科と口腔外科が一緒となり形成・口腔顎顔面外科学講座が誕生し平林慎一が初代主任教授となりました。顎顔面領域の疾患に対し集学的な治療ができるユニークな講座となっております。2016年に小室裕造が第2代主任教授に就任いたしました。帝京大学は附属病院として板橋の医学部附属病院、ちば総合医療センター、溝口病院の3病院をあわせもち各々の病院に形成外科があります。
基幹施設である帝京大学医学部附属病院形成外科では先天異常、顔面外傷、難治性足潰瘍、乳房再建を含む癌再建手術、眼瞼下垂を含む瞼の手術などを中心に、年間約1.100件の手術を行っております。
当科の特徴
帝京大学形成外科の7つの特徴についてご紹介します。 なお、具体的な診療対象につきましては“主な診療対象”の項目をご覧ください。
1.当科の30年間の経験に基づく治療
当科設立1993年以来の様々な治療データや経験を、現在の新技術や新知見と組み合わせながら日々の診療や治療にあたっています。
2.最先端のデバイスや術式を用いた治療
教授の小室はクルーゾン症候群やアペール症候群などの頭蓋縫合早期癒合症に対する治療を得意とし、難易度の高い顔面骨切り術(クラニオフェイシャルサージャリー)や骨延長術などの新しい治療法も積極的に取り入れて取り組んでいます。 顔面神経麻痺の後遺症については、ボトックスを用いた保存的治療から、高難度な筋肉移植による動的再建術まで行っています。そのほか、陰圧閉鎖療法をもちいた保存的で低侵襲な皮膚潰瘍の治療などにも取り組んでいます。
3.救命救急センターと連携した顔面・軟部組織損傷の治療
当院は都内でも有数の高度救命救急センターを有し、多くの顔面骨骨折、顔面軟部組織損傷、重傷軟部組織感染症や軟部組織損傷などを治療しています。治療にあたってはセンターや外傷外科および他の診療科と共同で治療にあたっています。
4.部位や年齢・性別を問わない幅広い症例へ対応
唇顎口蓋裂や多合指症などの先天奇形、乳房や婦人科領域も含めた良性・悪性腫瘍の再建術など年齢や性別を問わず治療を幅広く行っております。
5.他の診療科との緊密なチームアプローチ
当院乳腺外科は都内有数の乳がんの治療を行っています。週1回乳腺科の合同カンファランスに参加し、数多くの乳房再建術を行うなど集学的治療の一翼を担っています。そのほか、顔面骨骨折の治療では、口腔外科と、悪性腫瘍の再建術について口腔外科や整形外科、耳鼻咽喉科、消化管外科、肝胆膵外科、婦人科、泌尿器科、皮膚科といった診療科とチームを組み担当しています。また、高齢化に伴い増加している糖尿病や透析例に合併する難治性足潰瘍例へは、循環器内科、心臓血管外科と連携を取り下肢の血行改善を図りながら下肢機能の温存を目指した治療を行っています。
6.高難度な疾患への対応
乳房再建術など、各部位の腫瘍切除後や外傷後に生じる欠損のうち欠損が複雑で大きい症例については、マイクロサージャリーを用いた遊離組織移植術などの高度な治療を行っています。また、上下肢リンパ浮腫症例へは0.5mm程度のリンパ管を静脈の吻合するリンパ管静脈吻合を行っています。
7.機能性・整容性を高い次元での両立を目指した治療
当科では、可能な限り機能と整容の回復にこだわった治療を行っております。整容的要素の強い加齢による眼瞼下垂症や顎変形症といった顔貌に直接影響を及ぼす部位への治療を行っています。それらに加えて、顔面の治療、頭蓋早期癒合症に対する骨切り術、咬合異常症例への上下顎骨切り術、顔面神経麻痺への筋肉移植術といった頭頚部領域はもちろん、乳房再建術などその他の部位の再建術においても機能と整容を両立させた治療を目指します。