子どものあたまの変形

あたまの形の異常の原因にはいくつかの可能性があります。最も多いのが変形性斜頭症とも呼ばれる寝ぐせによる頭蓋の変形です。 程度が強いものでは前額部や顔面の非対称を呈することもあります。典型例では頭部を上からみると平行四辺形の変形をきたしており、後頭部が扁平になっている側の耳介が前方にシフトしています。



おなかの中の赤ちゃんは子宮内や産道での圧迫によりあたまが変形します。変形が強いと、出生後、頭の収まりが良い方向を向いて寝るようになります。この寝癖が長期間続くと斜頭変形が目立ってきます。正面を向いた仰臥位の時間が長いと後頭部が平坦ないわゆる”ぜっぺき頭“を呈することもあります。これらのほとんどは首が座り脳が増大するにつれてある程度自然に改善することが多いのですが、変形が強いものは改善がなく残存することがあります。こうした変形は機能的には問題はなく、あくまで見た目の整容面が問題となります。欧米ではヘルメットを着用して積極的に頭蓋の形状を矯正する治療が広く行われています。日本では昔から乳児は仰向け寝させる習慣がありましたが、頭蓋形態は欧米人に比べ短頭であることもあり頭蓋の変形はあまり問題になりませんでした。しかしながら国際化が進み情報化社会の現在、日本でもヘルメット矯正治療を希望される親御さんが増加しています。ただし効果があるのは生後7-8か月までの頭蓋が柔らかい時期に限られ、また治療は自費診療となります。

あたまの変形の中には病気が原因であることあるので注意が必要です。代表的なものに頭蓋縫合早期癒合症があります。鑑別には専門医の診断が不可欠であり、ヘルメット治療を行う前に必ず診察を受ける必要があります。 (担当:小室裕造 火曜日午前外来)